2011年9月3日土曜日

ツール・ド・本屋さん2・・・・空想とリアルの揺らぎ『現実入門』

ツール・ド・本屋さん2店舗目は、横浜みなとみらい。
1店目の鶴見(→前回「ツール・ド・本屋さん1」参照)からは、国道15号をひたすら南下、横浜を過ぎ、海側に道なりに行くと、高層ビル立ち並ぶみなとみらい地区が見えてくる。

ランドマークタワーやパンパシフィックホテル、昔、横浜トリエンナーレで巨大なバッタがたかっていた(確か2000年)船の帆のようなグランド・インターコンチネンタル・ホテル、巨大な観覧車が一望できる桜木町駅前。


【2店舗目:紀伊國屋書店 横浜みなとみらい店】
駅前にできた新しいショッピング、コレットマーレみなとみらいに2010年3月開業とのこと、まだ新しい本屋さん。

内装もおしゃれで、本屋さんっぽくない。強いていうと、TSUTAYA六本木店や、業種違うけど銀座のハンズみたい。

夏休みの最終週ということで、家族連れが多い印象。品揃えも、絵本や児童書、宿題、行楽、ファミリー層を意識した、あんまりとんがってない感じ。が、さすがは紀伊國屋、バランスが取れた選書。
横浜ローカル本もけっこう充実。


【購入した本】
で、何を買おうかと物色していたら、「紀選文庫 紀伊國屋書店スタッフが選んだ文庫百冊」というコーナーが目に入る。

そこで、穂村弘『現実入門』を発見。

  [穂村弘『現実入門』(光文社文庫)]

『ほんとうは違うんだ日記』や『短歌の友人』、『絶叫委員会』、編著の『短歌ください』など、現実とのギャップをとことん突き詰める穂村ワールドに絡め取られている私としては、これは見逃せない。

で、買ってみた。

体験するのは、ごくごく普通のこと。穂村さんが語ると、現実と穂村さんの認識とのギャップが面白い。

ところが、おどろくべきことに、穂村さんが未体験なことは、わりと自分自身と重複していることに気付く。最初のテーマは「献血」だが、20歳の頃に1回したが、その後、2回目はつい最近・・・・。「相撲観戦」も「占い」(1回くらいあるかも)も「競馬」も・・・・私も、穂村さんと編集者のサクマさんが言う「現実」から遠いような気がする。

みなとみらいという未来都市で、穂村さんの妄想や葛藤と現実の間に生じる陽炎のような揺らぎを自覚させられる。

穂村ファンとしては、うれしいような、微妙なような・・・・。
でも、このギャップに自覚的でありつづけることが、穂村さんの文章を、短歌を生むのだなと思う。

・・・・と、これだけだと、普通の穂村本、この本にはもう一つしかけが。
ネタバレになるので秘密。ぜひぜひ、最初から最後まで、順番通りに読んでください。

この本も何度も読み返す大切な本の一冊になった。


次は鎌倉を目指す(→次回「ツール・ド・本屋さん3」参照)。
大船経由、鎌倉街道を南下。浪人生のころ、最初に来たツーリングが鎌倉だった。
回りを山に囲まれ、坂道がきつかった思い出が、ちと気合いを入れて出発。

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