2011年9月11日日曜日

ツール・ド・本屋さん5・・・・怪力乱神を語る『一鬼夜行』


ツール・ド・本屋さん5店目は、海老名。

藤沢の本屋さんが中堅チェーン店でかなりフリーダムにがんばっていたので(→前回「ツール・ド・本屋さん4」参照)、ツイッターでのフリーダムさに定評のある本屋さんに期待が盛り上がる。一度うかがったことはあるのだが、今回は事前予告付き、しかも途中中継あり( #ツールド本屋さん で動向が把握されている)なので、光栄にも店長さんにお目にかかれることに(ツイッターでは何度も語りあっているから、勝手に旧知の仲のような気がしているけど初対面)。



【5店舗目:三省堂書店 海老名店】
ここは、数ある三省堂チェーンの中でも、有楽町店と並んで積極的なツイートが目立つお店。アカウント( @ebina_sanseido )、是非一度ご覧ください。
この記事を書いている瞬間(土曜日深夜)も、『寄生獣』というコミックスについて熱く語るツイッター座談会の座長をされている。

駅前のビル、ビナウォーク1のワンフロア、決して大きな店ではないが、POPや選書、陳列によるオススメが明解ではっきりお店の意志が伝わる。品揃えのバランスもいい。大量陳列や強力POPから選ぼうかと思ったが、見つけてしまった一冊。タイトルだけでも魅力的。

店長さん、ツイッターで想像していた通りのフットワークの軽い方。
ツイッター書店員間のハブとして機能していて、全国から書店発行のフリーペーパーを集め、店内に展示/配布、さらに、それぞれのお店へのデータ配布もしているらしい。
(作ったフリペデータの再配布とかも)


【選んだ本】
小松エメル『一鬼夜行』(ポプラ文庫)
「百」でなくて「一」なところに、えっ。さらに著者名小松エメルさん、どうやら新人らしいけど、妖怪研究で有名な小松和彦さんとはご親戚だろうか?


[小松エメル『一鬼夜行』、他の「百鬼夜行」関連本に加わった新顔]
(この中には名著、小松和彦『百鬼夜行絵巻の謎』や、小林恭二『本朝聊斎志異』も)

もちろん、節電とはいえ夜も明るい都会に住み、合理性に基づく職業で糊口をしのいでいる私、妖怪変化は信じていない。でも、妖怪モノはけっこう好きで、一番好きなマンガは、藤田和日郎『うしおととら』だし、今市子『百鬼夜行抄』も次を楽しみにしている。小説でも『陰陽師』シリーズは毎回買っているし、『八犬伝』も上田秋成も『山月記』も大好き。
一方で、妖怪研究(社会学的にもしくは歴史学的に妖怪を理解することで、歴史上のメンタル面に迫る試みも好み。最近では、菊地章太『妖怪学入門』(講談社)とか、面白かった。

・・・・と、話は尽きないが、この『一鬼夜行』、面白かった。明治初期、魑魅魍魎(ち、み、もう、りょう…具体的にどんなのかわからず)が跋扈(ばっこ…これも、このセットでしか使ったことがない)する江戸を引きずった男と、百鬼夜行から落ちこぼれ、時が止まっているような、不思議と明るい小鬼の小春、脇の人物、妖怪ともに人物/妖怪造形がうまい。

シリーズで次回作もあるらしい。
次も読まないと。


次は多摩センター(→次回「ツール・ド・本屋さん6」参照)。先は長い。
夕刻が迫る。店長さんに早々に退散のご挨拶をして、再び自転車に。
雲が出てきた。夜には雨もあるらしい。




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